変形性関節症

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは膝痛の原因疾患として最も多いのが、変形性膝関節症です。
高齢になると発症・悪化リスクが上昇し、男女比では女性が男性の4倍も発症率が高いという特徴があります。
膝には歩行などの際の衝撃を和らげる軟骨がありますが、加齢などによってこの軟骨が摩耗して炎症を起こしている状態が変形性膝関節症です。
階段の上り下り、座る・立ち上がるといった動作で強い痛みを起こし、悪化するにつれて膝の腫れ、骨の変形、動作障害、歩行困難などを起こすこともあります。
加齢以外では、肥満や運動不足もリスク要因です。
体重が増えると膝への負担が増えますし、運動が不足して筋肉が衰えると筋肉が支えていた負担も膝関節にかかるようになってしまいます。
日常生活の質を守るためにも、早期の適切な治療により進行させないようにすることが重要です。

症状

主な症状は膝の痛みで、早期には立ち上がる・歩きはじめる際に痛みを生じます。
進行すると正座ができなくなり、階段の上り下りに困難を覚えるようになります。
膝に水がたまって腫れることもあります。さらに進行してしまうと、安静時にも痛みが続き、膝の変形を起こします。
また、膝が伸びなくなって歩行できなくなることもあります。

原因

加齢による関節軟骨の老化が主な原因ですが、肥満や運動不足、遺伝の影響も受けます。
骨折や靭帯・半月板損傷など、膝のケガの後遺症として生じるケースもあります。

加齢

歩行や動作による衝撃を和らげる膝関節の軟骨は、加齢によって弾力性を失って変性し、摩耗しやすくなります。摩耗が進むと衝撃が関節に直接伝わって痛みを起こします。
さらに加齢では筋力も衰えるため、それまで筋肉が支えていた力も関節にかかるようになって膝関節へのダメージが加速します。
変形が進むと側副靭帯にも緩みを生じ膝関節が不安定となるため悪循環に陥ります。

肥満

歩行時には膝に体重の3倍の力がかかります。肥満で体重が増えると、増えた体重の3倍の力が膝にかかることになるため、負担がかなり大きくなってしまいます。
さらに、膝に痛みがあることで運動や歩くことが億劫になってさらに体重が増えてしまうという負のスパイラルも生じやすいため注意が必要です。

筋力低下

筋肉は骨や関節を支え、衝撃など外部からの力を分散して受け止める役割も持っています。
筋力が低下すると膝関節に、より大きな負担がかかるようになって膝の状態を悪化させます。

検査・診断

痛みの起こっている場所、どんな時に痛みが起こるのか、症状が起こりはじめた時期、膝の骨折など外傷経験の有無などをうかがいます。触診で、膝の腫れや変形の有無、可動域、関節不安定性などを確認した上で、X線検査を行います。
X線検査では、関節の隙間の状態、骨棘など骨の変形の有無を調べます。
状態により、関節液の検査やMRI検査が必要になることもあります。

治療

治療当院では主に薬物療法とリハビリテーションという保存的治療を行います。
保存的療法で改善できない場合には手術が必要になります。
薬物療法は、消炎鎮痛剤や漢方薬の内服や外用薬の併用、膝関節内へのヒアルロン酸注射などがあります。
ヒアルロン酸は関節液に含まれている成分で、関節軟骨の保護や動きをなめらかにする役割を担っています。
変形性膝関節症ではヒアルロン酸が減ってしまうため、注射で補うことでこうした作用の改善が見込めます。
リハビリテーションでは、ホットパックなどを用いて深部を温める物理療法を行い、筋肉強化や可動域改善のための運動療法によって膝への負担を軽減させます。
また膝への負担を軽減するための外側ウエッジの足底版(足の裏に装着する足底装具)や支柱付き膝サポーターなども効果が期待できます。
また、ご自宅でできるケアやストレッチ、エクササイズ、日常動作での注意点などもアドバイスしています。

進行・悪化を防ぐための日常生活における注意

  • 大腿四頭筋(腿の前にある筋肉)の筋力をアップさせる
  • 正座や膝に過度の負担を強いる動作を避ける
  • 座卓やこたつをやめて、椅子やソファに座るようにする(洋式の生活)
  • 肥満している場合は減量する
  • 膝を冷やさない・極力温かく保つ
  • 和式トイレは使わずに、洋式トイレを使用する
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