口腔機能低下症

口腔機能低下症とは

口腔機能低下症とは 加齢などによって口腔機能が低下すると、食べ物がうまく噛めない、飲み込みにくい 気管に入ってむせてしまうなどを起こすことがあります。
これは口腔機能低下症の主な症状です。
「口腔機能低下症とは加齢だけでなく、疾患や障害など様々な要因によって、口腔の機能が複合的に低下している病態」と定義されています。
口腔機能の低下を放置しておくと咀嚼障害、摂食嚥下障害などが生じて全身の健康に悪影響を及ぼします。
特に高齢者においては、う蝕や歯周病,義歯不適合などの口腔の要因に加えて、加齢や全身疾患の合併などによっても口腔機能が低下しやすく、さらに低栄養や廃用、薬剤の副作用等によって修飾されてより複雑な病態を呈し、例えば誤嚥を起こした場合にも肺炎になりやすくなります。
そのため、個々の高齢者の生活・環境や全身状態に合わせて、その人その人に応じた口腔機能を適切に管理する必要があります。
口腔機能低下症にはさまざまな発症・悪化要因があるため、患者様の状態を見極め、医科・歯科連携を見据えた総合的な治療を行う必要があります。
当院では、リハビリテーションの観点から、こうした口腔機能低下症が疑われる方のために、客観的に評価する検査や訓練を行っています。

口腔機能低下症とオーラルフレイル

最近、口腔機能低下症だけでなく、オーラルフレイルという言葉を耳にする機会も増えております。
オーラルフレイルは、わずかなむせや食べこぼし、滑舌の低下といった口腔機能が低下した状態を指し、人々に対する啓発に用いる用語です。 一方、口腔機能低下症は、指定された検査結果に基づく病態です。
従って、オーラルフレイルと口腔機能低下症は重複する部分が多く、区別されるものではありません。

口腔機能低下症の症状

口腔内の微生物の増加、口腔乾燥、咬合力低下、舌や口唇の運動機能低下、舌の筋力低下、咀嚼や嚥下機能の低下など、複数の口腔機能が低下し、多彩な症状を呈します。

口腔機能低下症の診断

当院は、口腔機能低下症の診断に必要な様々な診断機器を揃えております。
診断をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

診断基準

口腔機能低下症は7つの症状(口腔衛生状態不良、口腔乾燥、咬合力低下、舌口唇運動機能低下、低舌圧、咀嚼機能低下、嚥下機能低下)のうち、3項目以上該当する場合に口腔機能低下症と診断されます。

口腔機能検査

口腔機能低下症を診断するためには、下記の7つの症状について精密検査を行います。

1.口腔衛生状態不良の評価

舌苔の付着状態を調べます。
口腔衛生状態不良は、評価指標であるTongue Coating Index(TCI)を用いて、舌苔の付着程度により視診で評価します。
舌表面を9つの区域に分割し、各区域に対して舌苔の付着程度を3段階(スコア 0,1または 2)で評価し、合計スコアを算出します。TCI合計スコアが9点以上ならば口腔衛生状態不良と判定します。

2.口腔乾燥の評価

ドライマウスの有無を調べる検査です。
口腔水分計(ムーカス™)を使用して、舌の先端部から約10 mm後方の舌背中央部における口腔粘膜湿潤度を計測します。
測定値27.0未満で口腔乾燥ありと判定します。

3.咬合力低下の評価

残存歯数
残存歯の本数を数えます。残根と動揺度3の歯を除いて残存歯数が20本未満の場合を咬合力低下とします。
20本以上の場合は、感圧フィルムによる検査を行い、200N未満で該当します。

4.舌口唇運動機能低下の評価

舌と口唇の巧緻性および運動速度を評価する方法であるオオーラルディアドコキネシスという検査機器を使用します。
1秒間に「パ」「タ」「カ」を何回言えるかを測定し、1秒未満でどれか1つでも6回未満しか言えなかった場合に該当します。
当院では、測定機器(健口くん™)により、判定します。

5.低舌圧の評価

舌圧測定器にて、舌の圧力を測定します。
舌圧測定器(JMS舌圧測定器™)のプローブを舌で硬口蓋に数秒間全力を用いて押し付け、最大舌圧を計測します。 最大舌圧が30kPa未満で低舌圧と評価します。

6.咀嚼機能低下の評価

咀嚼能力検査
グルコース含有の咀嚼能力測定用2 g のグミゼリー(グルコラム™)を 20 秒間自由咀嚼させた後、10 mLの水で含嗽させ、グミと水を濾過用メッシュ内に吐き出させ、メッシュを通過した溶液中に溶出されたグルコース濃度を咀嚼能力検査システム(グルコセンサ ーGS-Ⅱ™)によって測定します。
グルコース濃度が100 mg/dL未満の場合を咀嚼機能低下(噛む能力が低下している)と評価します。

7.嚥下機能低下の検査

嚥下機能低下は嚥下スクリーニング検査(EAT-10)または自記式質問票(聖隷式嚥下質問紙)のいずれかの方法で評価します。

嚥下スクリーニング検査(EAT-10)

嚥下スクリーニング質問紙(The 10-item Eating Assessment Tool、EAT-10)を用いて評価します。合計点数が3点以上で嚥下機能低下と評価します。

自記式質問票(聖隷式嚥下質問紙)

自記式質問票「聖隷式嚥下質問紙」を用いて評価します。15項目のうちAの項目が1つ以上で嚥下機能低下と評価します。

治療

治療当院では、言語聴覚士(ST)による嚥下リハビリテーションを行っています。
口腔機能低下症の検査や院内で行う嚥下内視鏡(VE)検査の結果を踏まえた嚥下訓練によって口腔機能の向上を図り、安全に食べられる食事形態や姿勢などもご提案しています。
また、本格的な口腔機能低下症の治療をご希望される場合には、連携している大学病院の高齢者歯科をご紹介してスムーズに治療を受けていただけるようにしていますので、ご相談ください。

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